オイル交換の必要性
オイル交換を頻繁に行っていないのであれば、車検では交換が必要となることが多いでしょう。
本来、オイル交換は2年に1回の車検よりも頻繁に行うことが理想とされているものです。そのため定期メンテナンスとして頻繁に交換を行っているのであれば、車検での交換は必要ありません。
しかしオイル交換をこまめに行っていない方であれば、車検のときは必須と言えるでしょう。オイル交換をしないまま走行していると車が故障してしまうこともあります。定期メンテナンスを行っていないなら、車検時のオイル交換は必須です。
車のオイル交換の種類
「車のオイル交換」と言っても、オイルの交換には大きく分けて4種類があります。車検時のオイル交換の目安として、どのオイルを交換するべきなのか、基礎知識を知っておきましょう。
種類1:エンジンオイル
交換が必要な車のオイルのひとつであるのが、まずエンジンオイルです。一般的に「オイル交換」と言えば、エンジンオイルの交換のことを指すことが多いでしょう。
エンジンオイルは、エンジンを動かすために必要となる潤滑剤としての役割を担っています。またエンジン周辺に設置されている部品の温度が上がりすぎることを防ぐのもエンジンオイルの役目です。
エンジンが駆動すると周辺に熱が伝わるため、部品の温度が上がりすぎないように冷却するための役割も果たしています。そのためエンジンオイルが不足したり交換されていなかったりすると、エンジンの故障の原因となってしまうこともあるでしょう。エンジンオイルがなくなれば、車を動かすこともできません。
エンジンオイルはエンジンのオーバーヒートを防ぐための役割を持つものです。オイル交換をして常に良い状態を心がけておけば、エンジンもスムーズに動いてくれるはずなので車検時のオイル交換では必須と言えます。
種類2:ブレーキオイル
エンジンオイルとともに車検時のオイル交換が欠かせないのがブレーキオイルです。ブレーキオイルはブレーキへの制動力を伝導するためのものであるため、車を必要なときに停止させるために必要となります。
ブレーキオイルは湿気を吸収しやすい性質であるため、交換を怠っていると沸点が低くなり、ブレーキが効きにくくなってしまいます。
しかももしブレーキオイルが不足していれば、ブレーキパッドもすり減っていることが多いものです。ブレーキの効きを確保するためには、車検時のブレーキオイルのチェックは欠かせません。
ブレーキは安全に車を運転するために最も重要なものです。ブレーキオイルが劣化したり不足したりせず、常に良い状態を保てるように車検時にはオイル交換をするようにしましょう。
種類3:ミッションオイル
次に車検時にオイル交換が必要となるのは、ミッションオイルです。「ミッションオイル」という名前からもわかるように、オートマ車ではなくミッション車に採用されているオイルのことを指します。
ミッションオイルは車のギアチェンジをする際の潤滑油の役割を担っているため、不足したり劣化したりするとギアチェンジがスムーズにいかなくなることがあります。ミッション車に乗っているなら、車検時にミッションオイルの交換を行ってください。
種類4:オートマチックオイル
車検時にオイル交換が必要なものとして最後にご紹介するのは、オートマチックオイルです。オートマ車に使用されているオイルなので、大多数の方にとって交換しなければならないオイルとなります。
ただオートマチックオイルのことをミッションオイルと呼ぶ場合もあります。オートマ車に乗っていて「ミッションオイル」と言われた場合は、オートマチックオイルのことであると思ってください。
オートマチックオイルは動力を伝達したり、シフトを制御したり、トランスミッションを冷却したりする働きをするオイルです。走行距離が長くなると徐々に劣化していきます。劣化すると車の稼働がスムーズでなくなったり、燃費が悪くなったりするため定期的な交換が必要です。
オイル交換の目安
車検時のオイル交換は主に4種類が必要だと解説しました。それではそれぞれのオイル交換時期の目安はどのくらいなのでしょうか?
初めて車検を受ける方であれば、「オイル交換が本当に必要なのか?」と疑問に思うこともあるかもしれません。納得したうえで車検を受けるためにも、オイル交換時期の目安は把握しておいたほうが良いでしょう。
先に解説したエンジンオイル・ブレーキオイル・ミッションオイル・オートマチックオイルについて、それぞれ交換が必要な時期を解説します。
交換目安1:エンジンオイル交換
エンジンオイル交換の目安は、一般的に走行距離5,000kmもしくは6か月ごとが理想的だとされています。そのため車検ごとにオイル交換するのでは遅く、定期メンテナンスとして交換をするように意識することが望ましいでしょう。
またエンジンオイル交換の目安は走行する場所によっても変わります。たとえば低速走行や短距離走行では、エンジンオイルが温まらないまま走行することが多いため早めの交換が必要です。また上り坂やチリの多い道路、渋滞の道などを頻繁に走行する場合も同様となります。
以上のようなコンディションの悪い走行を行う場合は消耗が大きくなります。基準となる5,000km・6か月ごとよりも早めの交換を意識してください。
交換目安2:ブレーキオイル交換
ブレーキオイル交換の目安は、10,000~20,000kmに1回、もしくは2年に1回です。そのため走行距離が多くない方であれば、2年に1回の車検ごとの交換でも問題ありません。
ただしより安全に車に乗るためには、1年ごとに交換したほうが理想的だとする意見もあります。いずれにしても、2年以上交換しないと、ブレーキが故障してしまうリスクが高くなるため、車検の際には必ず交換するようにしたいものです。
交換目安3:ミッションオイル交換
ミッション車で交換が必要となるミッションオイルは、20,000~30,000kmに1回の交換が理想的だとされます。ただし20,000~30,000kmという目安があるものの、ギアの入りが良くないと感じられたら、都度交換すると良いでしょう。もしギアの入りが悪いなら、ミッションオイルが劣化してきている可能性があるためです。
ギアの入りが悪いなどの不調が感じられない場合は、20,000~30,000kmもしくは2年に1回の頻度で、車検時にオイル交換をすると良好な状態を保ちやすくなります。
交換目安4:オートマチックオイル交換
続いてオートマチックオイル交換の目安は、40,000~100,000kmに1回が交換の目安とされています。メーカーにより交換の推奨頻度は違います。しかし車検ごとにオイル交換をすれば、交換頻度が足りなくなることはないでしょう。
オイル交換をしないとどうなる?
車検時のオイル交換の必要性や頻度について解説しました。それではオイル交換を車検時に行わないと一体どのようになるのでしょうか?考えられるデメリットをご紹介していきます。
エンジンの調子が悪くなる
車検時にオイル交換をしないと、まずはエンジンの調子が悪くなってきます。エンジンの調子に関係するオイルは、エンジンオイルです。
エンジンオイルには清浄作用があるため、オイルの品質が劣化してくると汚れをきれいにすることができなくなります。そして結果的に、エンジン内部に発生する燃えカスである「スラッジ」が蓄積されます。
スラッジはエンジンの不完全燃焼やエンジンオイルの劣化により発生するものです。エンジンオイルには汚れなどを吸着する清浄作用があります。しかし汚れを多く吸着すると吸着力が弱まってきます。そのためエンジンオイルが劣化している場合は、新たなものに交換することが必要です。
スラッジが蓄積されると、エンジンが正常に稼働しにくくなり調子が悪くなります。定期メンテナンスでチェックすることはもちろん、車検時には交換するようにしましょう。
エンジン内部が摩耗する
エンジンオイル交換を怠ると、エンジン内部の摩耗が見られるようになることもあります。エンジンオイルが古くなると粘度が低くなり、部品の摩耗を防げなくなるためです。
エンジンオイルは周辺部品の摩耗を防ぐための潤滑油の役割も果たします。粘度が高くオイル状であれば摩耗も予防できます。しかし水のように粘度が低くなったエンジンオイルでは、潤滑油として役立ちません。水と油では、部品同士の摩擦が起きたときの衝撃の伝わり方が違うのは想像に難くないでしょう。
潤滑油としての役割を果たせなくなると部品が摩耗して、エンジンが故障するリスクも上がるので定期的な交換が必要です。
オートマチックの場合発進・加速性能が低下
オートマチックオイル交換を車検時に行わなかった場合、発進や加速の性能が低下する可能性もあるでしょう。オートマチックオイルはミッションオイルの一種で、動力を伝達したり、シフトを制御したりするためのオイルです。
しかしオイル交換を行っていると、オートマチックオイルの中に細かな金属片などが混入したり、ギアやクラッチの動作が悪くなったりします。すると発進や加速の性能が低下してきて、思うようにスピードが出せなくなってしまいます。
発進・加速の効率が悪くなると燃費にも悪影響を及ぼすため、コスト面を考えても車検時にオイル交換をしておくことは大切なことです。
エンジンオイルの日常点検
エンジンの故障にもつながりかねないエンジンオイルは、日常点検によりよい状態を保ちやすくなります。エンジンオイルの日常点検はご自身でも簡単に行えるものです。次の手順を参考にして、エンジンオイルを良い状態に保つようにしましょう。
- 【点検の方法】
- 平坦な場所に駐車する
- エンジンが冷えた状態でボンネットを開ける
- オイルレベルゲージを抜いてクロスでふき取る
- 再度オイルレベルゲージを差し込んで引き抜く
- 油量・汚れ・色を確認する
上記の手順でオイルレベルゲージを引き抜いたら、エンジンオイルの残量と汚れ、色を確認してください。もし残量が少ないようであれば不足している分を足しましょう。
エンジンオイルの残量チェックは、オイルレベルゲージを抜くことで行なえます。ゲージに「H」「L」などの文字がある場合は、「H」と「L」の中間に油面がきていれば問題ありません。もし「L」よりも下回っている場合は不足だと判断できます。エンジンオイルを補充しましょう。
「H」「L」などの文字が記載されておらず、穴だけが開いているタイプのオイルレベルゲージもあります。その場合は2つの穴の中央に油面があればエンジンオイルの量は正常です。
また汚れが混じっていたり、色が黒くなっているようであればエンジンオイルが劣化していると判断できます。オイルレベルゲージをふき取ったときのクロスを確認してみましょう。もし汚れているようであれば、車検のときにオイル交換をしてもらってください。
車検の合格に向けてできる日常点検について知りたい方は”車検検査項目一覧と合格するために日常的に注意しておくべきポイント”をご覧ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?この記事を読んでいただくことで、車検時のオイル交換の必要性や適正な交換頻度がご理解いただけたと思います。
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