そもそも車検とは
車検とは、自動車やオートバイなどの車両が、交通安全や環境保護などの観点から一定の基準を満たしているかを定期的に検査する制度を指します。
新車で購入した場合は初回のみ購入から3年後、それ以降は新車も中古車も2年ごとに必ず受ける必要があります。車検は、道路交通法や各国の法律に基づいて実施されるものであり、車両の安全性や公道走行の適格性を確保するための重要な手続きです。
車検が切れたままで運転してもいいの?
結論としては「絶対にダメ」と言えます。なぜなら「道路運送車両法第58条」で「車検が切れた車は運転してはいけない」と法律で定められているからです。正確に言うと「自動車は車検を行い、適正基準をクリアしない限り公道を運転することができない」です。切れたから運転できないのではなく、そもそも、車検を通さないと運転する許可が下りない。というイメージでしょう。
もし、車検が切れた状態で車を運転すると上記の法律を違反することとなり「無車検運転違反」となり、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」に処されるため注意が必要です。
さらに車を運転する場合は強制で加入が義務付けられている「自賠責保険」も、車検を通すタイミングで更新することがほとんどのため、車検が切れているイコール自賠責保険も切れているケースが多いです。
同様に、切れている状態で車を運転すると「無保険運転」となり、「1年以上の懲役または50万円以下の罰金」に処されます。「無車検運転違反」と同時に違反した場合は「無車検・無保険運転違反」となり「1年6か月以下の懲役または、80万円以下の罰金」になるため、かなり重い罪となります。
車検が切れたままで運転し続けるとどうなる
車検が切れたまま運転をすることは、法律を違反すること以外にも、さまざまなデメリットが存在します。
事故にあった場合は任意保険や自賠責保険による保証が受けられない可能性がある
車検切れの状態で交通事故を起こした場合は、任意保険や自賠責保険を使うことができず、十分な補償を受けることができない可能性があります。
仮に任意保険の保証が下りた場合であっても、それは「相手への補償」のみで、「自分への補償」は対象外になることもあります。単独の事故で保険を使いたいと思っても任意保険は使えないと思うべきでしょう。
さらに自賠責保険は、車検を通すタイミングで更新することがほとんどのため、車検が切れているイコール自賠責保険も切れているケースが多く、自賠責保険も使えないと思う方が良いでしょう。
悪質だったり、常習の場合は逮捕される場合もある
車検切れのまま運転をし、スピード違反や駐車違反をした場合、本来であればその違反に対して罰金を払うだけで済みます。同様に、車検切れに関しても上記で説明したように違反に対して罰金を支払うことで済むことがほとんどです。しかし、「車検が切れてから長期間経過している」「過去に何度も違反を受けている」場合だと、悪質性や常習性もあると判断され、逮捕される可能性も十分にありえます。
免許証の停止、または取り消し
車検切れの状態で公道を運転した場合は上記の罰金や懲役以外にも「違反点数が6点加算」されます。運転免許の違反点数制度により違反点数が6点を超えると「免許証の停止」となります。「免許証の停止」とは「指定された期間内は車の運転ができない」ことを指します。前歴があり、すでに違反点数が加算されていた場合、その点数によっては「免許証の取り消し」となる場合もあります。「免許証の取り消し」とは文字通り「免許証の効力が失われるため、再度、運転免許を取る必要があり、運転免許を取り直すためには数年間の欠格期間を終える必要がある」ことを指します。
車検が切れてしまっていたらどうしたらいい
では、知らずのうちに車検が切れていたことが発覚したとします。すぐにでも車検を通したいが、運転してはいけないためどうしたらいいのか悩むはずです。以下に車検切れの車が車検を通すための方法をまとめました。
①陸送業者へ依頼し、積載車(キャリアカー)で最寄りの整備工場へ運んでもらう
車検が切れて運転ができないのなら陸送業者を手配して運んでもらうのが一番簡単な解決策でしょう。積載車とは、荷台部分に自動車やオートバイ、大型の貨物を乗せることのできる専門車です。それを運転するドライバーも日ごろから大型の貨物を載せて運転しているため運転技術も申し分ないでしょう。
デメリットとしては、もちろん費用が発生することと、予約状況次第では当日や翌日対応が難しい可能性があります。
ちなみに、レッカー移動は後輪や前輪が地面と接するように吊り下げて運搬します。運搬する車のタイヤが回転することにより「運転」とみなされるため、レッカー車を使って運んでもらうことはできませんので注意が必要です。
②仮ナンバーを発行する
仮ナンバーとは正式名称が「自動車臨時運行許可番号標」と言い、車検切れなどで本来は公道の運転ができない車のために一時的に取り付けるナンバープレートのことを言います。一般車両用とお店用の2種類あり、一般車用はプレートの上に赤い車線が引いてあるのが特徴です。
仮ナンバーはお住いの市区町村役場で申請することができ、申請の際には500円~1000円程度の手数料が必要となることがほとんどです。その日のうちに仮ナンバーが発行されることがほとんどですが、発行してから5日以内の返却が義務付けられているため、その期間内に車検サービスを行っている業者へ引き渡す必要があります。
出張車検サービスを依頼する
最近では整備工場や、ディーラーへ車を持っていかずとも、専門の業者が直接車のある場所へ赴き、その場で車検をしてくれるサービスもあります。これなら車の運転をすることなく、車検を通すことができるためとても便利なサービスと言えるでしょう。しかし、サービスによっては整備工場で行うような本格的な車検を行うことができず、「その場しのぎの通すだけの車検」となる可能性もあるでしょう。車検の本質は、「法律で定められているから行う」のではなく、「事前に不具合のある箇所を見つけ出し、修理や部品の交換を行い、重大な事故を防ぐ」役目です。「車検が切れて運転できないから出張車検でとりあえず車検を通そう!」という安易な考えでサービスを利用するのは安易かも知れませんが、1つの方法として覚えておくのもいいかも知れません。
車検が切れていることはばれる?
では車検が切れていたとしても「ばれなければ、罰金も違反点数もつかないから黙っていよう」と思われるかも知れません。しかし、車社会の現代ではさまざまな方法で車検切れがばれます。国も車検切れによる違反や事故を重大視しているため、「簡単にはばれないだろう」と思うのは浅はかと言えるでしょう。ではどのような方法で車検切れがばれるのでしょうか。
Nシステム(ナンバー自動読み取り装置)でばれる
Nシステムとは走行中のナンバープレートを読み取る装置のことです。読み取られたナンバープレートはその都度データベースで照会されており、無車検かどうかを瞬時に判断します。無車検であると判断した場合はすぐに警察が出動し取り締まるようになっています。道路という道路に設置されており、国が管理をしているため、Nシステムにばれないように運転するのは不可能に近いでしょう。
車検標章(車検ステッカー)でばれる
車検標章とは車のフロントガラス上部中央に貼ってある四角のステッカーのことです。このステッカーには車検が満了する日が記載されているため簡単に車検が切れているかどうかを判別することができます。
ちなみにフロントガラスの左側に貼ってある丸形のステッカーは「法廷検査標章」と言われており、車検標章とは異なります。
事故や違反をきっかけにばれる
車検が切れた状態で運転することは罪の意識を感じる場合や、不安で運転に集中できず、いつもだったらしないような違反や事故を起こしてしまう可能性があります。その場合に警察の取り調べでばれることも多いと言えます。起こした違反や事故と相まって、車検切れも罪に問われるため、免許の取り消しや、場合によっては逮捕も考えられるでしょう。
無車検車・無保険車通報窓口システムでばれる
無車検車・無保険車通報窓口システムとは国土交通省が管轄している、文字通り無車検や無保険車を見つけた場合に通報をすることができるシステムとなっております。
車検が切れている車を見かけた場合みなさんならどう思われるでしょうか?きっと「もし、あの車と事故を起こしたら、保険金とか払ってもらえるのだろうか…」「法律違反をしている人だからもしかしたら他にも重大な違反をしているかも…」と不安になると思われます。そういったユーザーが自分の身を守るために通報することも少なくはないでしょう。インターネットから簡単に通報ができるため、ばれずに運転することは難しいと言えます。
車検が切れたまま運転することは重大な法律違反
いかがでしたでしょうか。車検が切れたまま運転することは罪に問われることがわかっていただけたと思います。車検が切れたこと自体は罪ではないため、車検が満期になるまでに車検を受けることができないと気づいたらすぐに上記の方法を参考にしてみてください。決して「ばれないから少しだけ運転しちゃおう」と考えたりしないようにしてくださいね。
とことん車検ナビでは、他にも車検に関する情報を発信しています。条件を指定して気になる車検情報を探せるので、ぜひ参考にしてみてください。
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