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いろは51 陸運局で車検を受けるメリット・デメリットと車検を受ける流れ

「陸運局で車検を受けたいけど、どうすればよいかわからない」「検討にあたり注意点を押さえておきたい」などと考えていませんか。一般的な車検とは異なるため、悩んでいる方が多いでしょう。陸運局の車検には魅力的な点と気を付けたい点があります。この記事では、これらについて解説するとともに費用の目安、申し込みの流れ、必要書類など紹介しています。以下の情報を参考にすれば、どのような点に気を付けて検討を進めればよいかがわかるはずです。

陸運局とは

地方運輸局のことを、一般的に陸運局といいます。陸運局は、全国に10カ所存在します。具体的には、以下の通りです。

  • 【全国の陸運局】
  • 北海道運輸局
  • 東北運輸局
  • 関東運輸局
  • 北陸信越運輸局
  • 中部運輸局
  • 近畿運輸局
  • 神戸運輸管理部
  • 中国運輸局
  • 四国運輸局
  • 九州運輸局

各陸運局は、下部組織にあたる運輸支局を構えています。また、運輸支局の中には自動車検査登録事務所などを構えているところもあります。ちなみに、この記事でいう陸運局はこれらの総称です。

陸運局は、自動車関係、船舶・船員関係、鉄道関係、観光関係などの業務を担っています。例えば自動車関係では、軽自動車を除く自動車の登録手続き、自動車の抵当権に関する手続き、車検に関する手続き、ナンバープレートに関連する業務、点検・整備に関連する業務などを行っています。

以上からわかる通り、陸運局は車検を実施しています。特徴は、使用者が陸運局へマイカーを持ち込んで検査を受けることです。通常の車検とはメリット・デメリットが異なるため、詳細を理解してから利用することが重要です。

陸運局で車検を受けるメリット

陸運局で車検を受ける主なメリットとして以下の点があげられます。

費用を抑えやすい

整備工場などで受ける車検と陸運局で受ける車検では費用の構成が異なります。前者の内訳は次の通りです。

  • 【内訳】
  • 法定費用
  • 基本料金
  • その他費用

法定費用は、どこで車検を受けてもかかる費用です。金額も基本的には変わりません。必ず発生する費用と考えておけばよいでしょう。基本料金は、代行手数料・24カ月定期点検料などで構成されます。店舗独自の費用であるため、名称や内訳、金額などはさまざまです。その他費用は、これら以外の費用といえるでしょう。代表的な費用として、事務手数料・部品交換費用などがあげられます。これも店舗独自の費用であるため、内訳や金額はケースで異なります。

陸運局で受ける車検にかかる費用の内訳は次の通りです。

  • 【内訳】
  • 法定費用

必ず発生する法定費用以外は基本的にかかりません(ただし、部品を交換した場合は部品交換費用がかかります)。以上の違いがあるため、費用を抑えやすいのです。

その日のうちに終わる

整備工場などで受ける車検と陸運局で受ける車検では所要期間にも違いがあります。前者の目安は2~3日程度といえるでしょう。依頼先や混雑状況によっては1週間程度かかることもあります。生活に自動車を欠かせない場合、車検期間中は代車を用意しなければなりません。

後者の所要期間は1日です。早ければ1時間程度で終了します。いわゆるスピード車検と差がないこともあります。車検が終われば、マイカーを自分で運転して陸運局から持ち帰ります。日常生活に影響を与えにくい車検の受け方です。また、整備工場などで受ける車検とは異なり代車を必要としません。すべての整備工場などで代車代を別途請求されるわけではありませんが、この点もコスト削減につながるポイントと考えられます

関連記事:車検時に必要な税金について詳しく解説

自動車についての理解が深まる

陸運局で車検を受ける場合、基本的には自分で点検・整備を行うことになります。したがって、自動車についての理解が深まります。これらの知識・技術は、日ごろのメンテナンスに活かせます。機械いじりが好きな方は挑戦するとよいかもしれません。

また、自分で手続きも行わなければならないため、費用などに関する理解も深まります。どのような費用が必要で、どれくらいの金額がかかるかなどがわかるためコスト意識が高まるでしょう。ケースによっては部品代の相場もつかめます。この点も、陸運局で車検を受けるメリットです。

陸運局で車検を受けるデメリット

陸運局で受ける車検にはデメリットも存在します。検討している方は以下の点を押さえておきましょう。

受付時間が限られている

陸運局で車検を受けられる日時は平日の日中だけです。多くの車検専門店などとは異なり、土日祝日・年末年始は営業していません。例えば、関東検査部の審査時間は午前9時~午後4時までとなっています。ライフスタイルによっては利用しにくいでしょう。平日の日中に働いている方は休暇をとらなければなりません。有給休暇をとれない場合、費用面のメリットは小さくなる恐れがあります。原則として予約を必要とする点にも注意が必要です。当日に空きがあれば飛び込みで受けられることもありますが、平日に時間が空いたからといって必ず受けられるわけではありません。車検専門店などに比べると、利便性はやや劣ると考えられます。

車検に通らないことがある

点検・整備を自分で行うため、専門的な知識や技術がないと車検に通らないことがあります。審査の結果不適合となった場合、再度、点検・整備をして検査を受けなければなりません。1回の検査申請で受けられる再検査は2回までです(初回検査とあわせて合計3回)。この間に適合しない場合は、後日再申請・限定自動車検査証の発行の中から選択することになります。整備工場などとは異なり、必ず通るものではないことを理解しておかなければなりません。
車検に通らない原因について詳しく知りたい方は“車検に通らない7つの原因と合格するためのメンテナンス&対処法”をご覧ください。

陸運局で車検を受ける際の流れ

陸運局で車検を受ける基本的な流れは次の通りです。

点検・整備を行う

自動車点検基準をもとに点検・整備を自分で行います(定期点検にあたるため、車検後に実施しても構いません)。異常が見つかった箇所や自分で対処できない箇所は、整備工場などで相談するとよいでしょう。点検整備を終えたら、その結果を整備点検整備記録簿へ記録します。

書類を用意する

車検に必要な書類を用意します。具体的には次の書類が必要です。

  • 【書類】
  • 自動車検査証
  • 自動車損害賠償責任保険証明書
  • 定期点検整備記録簿
  • 自動車税納税証明書

自動車検査証を用意するときに有効期限を確認しておきましょう。満了日を超えた自動車は公道を走行できなくなります。自動車損害賠償責任保険証明書は、いわゆる自賠責保険の保険証書です。車検にあたり、古い証明書(保険期間延長前)と新しい証明書(保険期間延長後)が必要になります。自動車税納税証明書は、毎年、5月ごろに送付される自動車税納付書についています。一部の府県を除き、登録自動車は自動車税納税証明書の提示を省略できるようになっています。

また、車検当日に、次の書類も用意しなければなりません。

  • 【書類】
  • 継続検査申請書
  • 自動車検査票
  • 自動車重量税納付書

継続検査申請書・自動車検査票・自動車重量税納付書は、陸運局の窓口で入手できます。陸運局内の印紙・証紙販売窓口で購入した検査手数料分の印紙・証紙を自動車検査票、税額分の印紙を自動車重量税納付書へ貼り付けて提出します。

車検の予約をとる

陸運局で車検を受ける場合、原則として予約が必要です。予約手続きは、独立行政法人自動車技術総合機構が運営する「自動車検査インターネット予約システム」で行えます(軽自動車は軽自動車検査協会が運営する「軽自動車検査予約システム」)。初めて利用する場合は、最初にアカウント登録をしなければなりません。必要な情報は「メールアドレス」「パスワード」「受検者名」「電話番号」です。アカウント登録が完了したら、ログインをして予約手続きを進めます。予約開始日は、受検日の2週間前です。また、継続検査はどの陸運局で受けても構いません。最寄りの陸運局が混雑している場合、遠方の陸運局で受けることもできます。
車検の予約について詳しく知りたい方は“車検の予約ってどうすればいいの?”をご覧ください。

車検を受ける

予約した日時に検査場へ自分で自動車を持ち込みます。必要書類を窓口へ提出して、その内容と予約の確認を行います。不安を感じる方は、検査コースの確認もしておくとよいでしょう。以上に問題がなければ検査を実施します。検査の主な内容は次の通りです。

  • 【検査内容】
  • 同一性の確認
  • 外観検査
  • サイドスリップ検査
  • ブレーキ検査
  • スピードメーター検査
  • ヘッドライト検査
  • 排気ガス検査
  • 下回り検査

実際の検査は、検査官の視認や検査機器を用いて行います。具体的には、検査コースに自動車を乗り入れて検査を受けます。すべての検査を終えたら、総合判定ボックスへ書類を提出して完了です。審査に適合したら、継続検査受付窓口へ必要書類を提出して新しい自動車検査証と検査証票を受けとります。不適合の場合は、指摘を受けた箇所を点検・整備して再検査を受けます。

陸運局で車検を受ける際にかかる費用

陸運局で車検を受けると法定費用がかかります。法定費用の内訳は次の通りです。

  • 【検査内容】
  • 検査手数料
  • 自動車損害賠償責任保険料
  • 自動車重量税

継続車検における検査手数料は、普通自動車が1両あたり2,300円(国の手数料500円を含む)、軽自動車が1両あたり2,200円(技術情報管理手数料400円を含む)です。

自動車損害賠償責任保険料は、車種と保険期間で異なります。一方で、保険会社による違いはありません。2023年4月1日以降の保険料は次の通りです。[1]

車種 12カ月 24カ月 36カ月
自家用乗用自動車 11,500円 17,650円 23,690円
軽自動車(検査対象車) 11,440円 17,540円 23,520円

自動車重量税の税額は、車種・重量で異なります。新車登録から12年目までの自家用乗用車(軽自動車は除く)における税額は0.5トンあたり4,100円/年、軽自動車における税額は定額3,300円/年です。それぞれの税額は、13~17年目、18年目以降で段階的に増額します。

以上のほかでは、点検整備費用(整備工場へ依頼した場合)、部品代などがかかることもあります。

陸運局で車検を受ける際の注意点

陸運局で車検を受ける場合は次の点に注意が必要です。

知識や時間が必要

ここまでの説明でわかる通り、陸運局で車検を受ける場合、自分で点検・整備・手続きを行わなければなりません。一定の知識・技術を求められるうえ、手続きにある程度の時間がかかります。車検専門店などへ依頼するよりもハードルは高いといえるでしょう。

不合格の場合は整備が必要

検査の結果、不適合になることもあります。この状態で満了日を過ぎると、公道を走れなくなります。整備不良の場合は、指摘を受けた箇所の再整備が必要です。当日中に再整備できるときは、自分あるいは整備工場などで再整備を受けられます。

当日中に整備できない場合は、後日再申請するか限定自動車検査証を発行することになります。限定自動車検査証の有効期間は15日です。この間に、指定整備工場で整備する、指定整備工場以外で整備する、自分で整備することができます。指定整備工場で整備する場合、発行された限定保安基準適合証と限定自動車検査証を陸運局へ提出すれば、自動車を持ち込む必要はなくなります。残り2つは、再整備後に陸運局へ自動車を持ち込み、不適合だった箇所の再検査を受けなければなりません。

検査コースに入れるのは1人

車検当日に、検査コースへ入れるのは1人だけです。助手席に家族などを乗せたまま受けることはできません。初めて受検する方は、検査担当者にその旨を申し出ましょう。丁寧に説明するなどの対処をしてくれます。また、検査時は基本的に荷物を降ろしておかなければなりません。大きな荷物などを予め降ろしておくとスムーズに受検できます。

陸運局の車検はメリット・デメリットを考えてから

この記事では、陸運局で受けられる車検について解説しました。費用を抑えやすい点は魅力ですが、整備・点検は自分で行わなければなりません。また、不適合になる恐れがある点も押さえておきたいポイントです。基本的には、一定の知識や技術などがある方に向いている方法といえるでしょう。自信がない場合は、全国の車検会社から見積もりをとって比較できる「とことん車検ナビ」を活用してみてはいかがでしょうか。条件に合う店舗を見つけられる可能性があります。

出典:損害保険料率算出機構「自動車損害賠償責任保険料」
https://www.giroj.or.jp/ratemaking/cali/pdf/202301_table.pdf

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