車検は前倒しで受けられる?
車検は、有効期限から起算して1ヶ月以上前倒しにできます。通常、有効期限の1ヶ月前〜満了の日までのどこかで車検を受けるケースが一般的ですが、その期間中に都合がつかなければ1ヶ月以上の前倒しも可能です。
どの程度前倒しにするかについては特に決まりがないため、車検を受けてから数ヶ月後にもう一度車検を受けることも可能です。しかし、車検を受けたばかりの状態でもう一度受け直す必要はありません。車検後の車に不具合があれば問い合わせのうえ、ほとんどの場合無償でチェックが受けられます。
車検の際には事前の予約・準備や費用の見積もりも行わなければならないため、前倒しのスケジュールを立てる際は慎重に計画を行いましょう。
関連記事:いつから受けられるの?車検の期間について
車検を前倒しで受ける際の注意点
車検を前倒しのスケジュールで受ける場合、どのようなポイントに注意すれば良いのでしょうか。2つの注意点をチェックしましょう。
通知の行き違い
車検の前倒しを行うと、次の車検はそこから2年後のため通常の期限よりも時期が早まります。7月1日が通常の車検期限にもかかわらず、3ヶ月前倒しをして4月1日に車検を受けた場合は、次回の車検が2年後の4月1日になります。
今まで車検を実施していたディーラーやカー用品の店舗から「7月1日に車検の期限を迎えます」という通知が届く場合がありますが、これは前倒しになった事実を知らないためです。
前倒しをすると今度は4月1日を有効期限として通知を送ってくるため、混乱のないように注意が必要です。
自賠責保険の延長・解約
強制保険である自動車賠償責任保険(自賠責保険)は、車検を受けるタイミングにあわせて加入するのが一般的です。しかし、車検を前倒しにするとまだ保険の契約が残った状態になってしまいます。
2つの選択肢として、前倒しと同時に、自賠責保険の契約を延長または解約する方法から選ばなければなりません。
自賠責保険に一切入らないと刑事罰の対象となる「無保険運行」になってしまうため、前倒しの前に加入していた期間をさらに延長するか、契約を一度終了して還付金を受け取り、新しい契約をし直すかを選択します。
自賠責保険と車検の関係について詳しく知りたい方は“自賠責保険と車検の関係について”をご覧ください。
車検を前倒しで受けるメリット
車検を前倒しすると、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。大きく分けて3つの利点について確認していきましょう。
好きな日程を選べる
車検を前倒しにする場合、基本的に都合のつく日など好きな日程を選んで検査が行えます。誕生日や記念日のようなわかりやすい日付のほか、月初めや月末に設定する方法もあります。
車検は有効期限が決まっているため、前倒しをしなくても基本的には好きな日程で都合がつけられます。しかし、有効期限があと1ヶ月しかないという場合に、車検の繁忙期に入ってしまった場合は期限を過ぎてしまうおそれがあります。
期限が迫った状態で車検を通すよりも、あらかじめ日程が選べる前倒しのほうが忘れにくい日を設定でき、さらに時間的にも余裕がある状態が選べるのです。
車検切れのリスクがない
車検は公道を走るためになくてはならないもので、期限が切れた状態で運転をすると違反点数6点のうえ、罰金や懲役などの刑罰も科されます。
有効期限が延長できない以上、スケジュールに余裕をもたせて車検に出す必要があります。万が一有効期限が切れてしまうと、公道は一切走れなくなるためレッカー移動などを行うか、仮ナンバーを申請しなければなりません。
有効期限が切れるとさまざまなデメリットが生まれてしまいますが、車検を前倒しにすれば、そうしたリスクの心配はありません。
関連記事:車検切れしてしまった際に必要な仮ナンバーとは?取得方法や注意点を解説
混雑しない
車検は一般的に12月(場合によっては11月)から翌年の3月までが繁忙期といわれています。4ヶ月程度も混み合う期間があるため、所有している車が11月から3月の間に含まれていた場合は繁忙期に車検を受けようとすると予約すらとれない可能性があります。
車検はあらゆる場所で受けられますが、人口の多い都市部や車の往来が多い環境では予約がとりづらい可能性があります。スケジュールを前倒しにすれば、そうした混雑を回避して好きな時期に予約が入れられるため、ゆとりのある状態で車検が受けられます。
車検を前倒しで受けるデメリット
車検は前倒しにするとさまざまなメリットがありますが、一方でデメリットにも注意が必要です。ここからはどのようなデメリットが考えられるのかみていきましょう。
車検費用が損になる
車検を前倒しにすると、残りの有効期間分だけ損をします。数日程度の前倒しであればあまり気にはなりませんが、1ヶ月以上のまとまった期間を前倒しにすると次の車検までの期間が実質的に短くなってしまいます。
車検にかかる費用は「法定費用」「車検代」「整備費用」の3つです。法定費用は約3万円〜5万円程度であり、車検代は3万円以上が相場です。車検にかかる手数料や次の車検までの税金を前払いしているため、まとまった費用が発生します。
車検を前倒しにすると、前払いしたものをもう一度払うことになり、重複期間が生じてしまいます。所有する車にかかる「自動車重量税」などの税金や手数料は還付されないため、前倒しにするほど損をする点に注意が必要です。
重量税を二重で支払うことになる
車検では自動車重量税と呼ばれる税金を収めます。車両の重さに応じて課せられる税金ですが、前倒しにしても料金は従来と変わらず納めなくてはなりません。
予定より早くに車検を受けて税金を納めても還付金や重複分の返金は行われませんので、有効期限よりも前にスケジュールを設定する場合は、「二重に税金を支払う」という事実をチェックしておきましょう。
車検時の税金について詳しく知りたい方は“車検時に必要な税金について詳しく解説”をご覧ください。
自賠責保険の還付金が少ない
自動車賠償責任保険(自賠責保険)は、契約の解除によって還付が受けられます。
正式には「返戻(へんれい)」と呼ばれ、有効期限の前に車検を受けたいということで自賠責保険を解約すると、それまでに支払った自賠責保険の残存期間が確認されます。残りが1ヶ月以上あれば(自賠責保険の満了日が1ヶ月以上先である場合)返戻金が支払われる仕組みです。
しかし、自賠責保険の返戻金はごくわずかな金額です。24ヶ月契約の普通自動車の残存期間が1ヶ月の場合(沖縄・離島を除く)900円程度、2ヶ月では1,900円程度が目安です。
自賠責保険は延長も可能なため、以前から加入している保険商品をそのままに、契約を延長する方法もあります。一度解約をして契約し直すのが面倒という場合は延長を選択するほうが効率的かもしれません。
ただし、保険の延長を行うと前倒しにした車検の時期と保険の更新時期がずれこむ点に注意が必要です。
車検を前倒しで受けても損しない方法
車検を前倒しにする際、損をしないためには有効期限の30日前にすると良いでしょう。30日前からであれば、前倒しにする前の満了日から数えて次の有効期限が設定されるため、「30日前倒しにした状態」で「有効期限の変更はなし」になります。
30日よりもさらに前倒す方法としては、以下の2点が挙げられます。
- 【30日以上前倒しにするポイント】
- 45日前に前倒しする
- 指定整備工場で車検を受ける
指定自動車整備事業者(指定整備工場)を選択して、車検が満了する日の45日前に予約を入れましょう。
これは、指定整備工場に特例措置が適用されるためです。指定整備工場では認証整備工場のように運輸支局などへ車両を持ち込んで検査を行う必要がなく、自社工場で検査を行い、「保安基準適合証」を発行して有効期限を変更せずに車検を通せるのです。
45日前に車検を実施するためには、その日より前に車を持ち込んで整備を受けなければなりません。指定整備工場への予約、相談はそれよりも前になるため、ゆとりをもって問い合わせを行ってください。
車検の期間は延長できる?
車検の前倒しは可能ですが、有効期限を自己都合で延長する「後ろ倒し」にすることはできません。
有効期限は自然災害による被災など、更新が不可能となる理由を除いては絶対的なものであり、必ずすべての車の所有者が守らなければならないルールです。
車検を行わずに車を運転すると「無車検運行」と呼ばれる状態に該当し、すぐに免許停止処分のうえ、刑事罰が適用されます。前提として、有効期限の後ろ倒しや延長はできないものと考え、期間のうちに更新を行ってください。
関連記事:車検って何?基礎知識(有効期間・費用)
期間に余裕をもって車検を受けよう
今回は車検の前倒しについて、方法やメリット・デメリットを紹介しました。有効期限の延長は自然災害のようなやむを得ない事情以外は一切認められませんので、期間にゆとりをもって予約を行いましょう。
有効期限の変更が不要な前倒しは指定整備工場のみ45日前から可能ですから、通常よりもさらに余裕のある車検を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
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